大林組元顧問ら逮捕

談合容疑で地検特捜部
 名古屋市発注の下水道工事をめぐる談合事件で、「堀川右岸雨水幹線下水道工事」など三件の工事で落札業者を決定するなど受注調整を主導していたとして、名古屋地検特捜部は八日、談合の疑いで大手ゼネコン「大林組」(大阪市)名古屋支店の元顧問柴田政宏(70)と、部下の元副支店長小林恵二(58)=愛知県瀬戸市の談合事件で公判中=の両容疑者を逮捕した。落札業者の営業幹部らは在宅で立件する見通し。特捜部は柴田容疑者を頂点にして大手、中堅ゼネコンが恒常的に行っていた談合の全容解明に乗り出す。

 談合が行われたのは、市が二〇〇五年二月から三月にかけて発注した堀川の工事と「第二次当知雨水幹線下水道工事」「服部南部準幹線下水道工事」。

 関係者によると、柴田容疑者は十数年前から東海地方の談合の仕切り役として君臨。小林容疑者が窓口となって、建設会社から受注希望工事や希望理由などを聴取。建設会社が希望する工事の現場周辺での実績の有無などを基準に落札業者を決めていた。

 堀川の工事は、入札予定価格が二十三億六千八百万円と〇五年度の市発注の下水道工事では最も金額が大きい。大林組は柴田容疑者らの談合での威光を背景に、共同企業体(JV)の幹事会社として落札業者となることを希望。他社の異論はなく、受注が決まったという。

 一方、当知と服部の二件の工事の落札業者を決める談合は、一連の流れの中で行われた。当初、服部の工事は新井組兵庫県西宮市)と地崎工業(札幌市)、鴻池組大阪市)の三社が受注を希望して競合していた。

 しかし、受注調整の途中で、鴻池組は同じ日に入札が行われる当知のJVの幹事会社として落札することで話がついたため、服部の工事は新井組が表面上は落札し、実際は地崎工業とJVを組んだとされる。この二件の工事の落札業者決定について、柴田容疑者らが関与したという。

 柴田、小林両容疑者ともに特捜部の調べに談合への関与を否定している。一方、落札業者らは容疑を認めているため、特捜部は逮捕を見送るとみられる。

 三件の入札予定価格に対する落札率は96・7−97・2%。柴田容疑者は昨年九月に副支店長から顧問に就任。代わって小林容疑者が副支店長に昇進したが、二人とも今年九月に同社を退職。柴田容疑者は病気で入院していた。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20061108/eve_____sya_____007.shtml