耐震計算偽装:愛知・半田のホテル耐震偽装 県の過失、一転認めず−−名古屋高裁

 姉歯秀次・元1級建築士による耐震強度偽装事件に絡み、解体に追い込まれた愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」が、建築確認審査をした県とホテル開業を指導したコンサルタント会社「総合経営研究所」(総研、東京都)などに約2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、名古屋高裁であった。岡光民雄裁判長は「審査に注意義務違反はなかった」として県の過失を認めた1審名古屋地裁判決(09年2月)を変更し、県への国家賠償請求を棄却した。

 一方で判決は総研の監督義務違反を1審同様に認め、県と総研、総研の内河健所長の3者に約5700万円の賠償を命じた1審判決から賠償額を増額し、総研に約1億6000万円の賠償を命じた。

 控訴審では1審同様、県の注意義務の範囲が争点となった。判決は法令に定めのない事項を審査する場合には「故意または重過失による見逃しがない限り、注意義務違反は問われない」として、耐震強度不足を見抜けなかった点を「違反とはいえない」と判断した。

 また判決は設計業者を選定した総研の監督義務違反を認めた上、新たにホテル休業に伴う損害などを認定して賠償額を増額した。内河所長については「設計業者選定は個人の行為ではない」として賠償請求を退けた。

 愛知県などによると、行政側の責任を問う同種訴訟ではこれまで4地裁と大阪高裁で判決が出ているが、行政側の過失を認定したのは名古屋地裁だけだった。【高木香奈】

耐震偽装:損賠訴訟控訴審 行政の過失認めず 名古屋高裁
毎日新聞 2010年10月30日 東京朝刊

http://mainichi.jp/life/housing/news/20101030ddm041040050000c.html