名古屋で高層ビル作業員転落死

2日間発見されず
 8日午後2時20分ごろ、名古屋市西区牛島町で建設中の高層ビル「名古屋ルーセントタワー」で、地下3階部分にある空調ダクトの底に男性作業員がうつぶせに倒れて死亡しているのを別の作業員(32)が見つけた。約16メートル上の1階部分から転落し、頭などを強く打ったとみられる。西署は、建設現場で不要になった資材を集める下請け業者の作業員(69)とみて身元の確認をしている。

 調べでは、作業員は6日午後3時ごろから、ビル内で行方が分からなくなっていた。休み時間になっても休憩所に現れず、同僚が不審に思っていたが、元請け業者や警察に届け出なかった。遺体の状況から6日ごろ死亡した可能性が高い。

 空調ダクトは、ビルのほぼ中央にある幅約1・5メートル、奥行き約2メートルの筒状の空間で、地下3階から最上階の40階まで約200メートルの高さを縦に貫いている。名古屋ルーセントタワー名鉄などが事業主となった高層ビルで、来年1月に完成予定。

■大規模工事の死角

 名古屋ルーセントタワーの建設現場で死亡していた男性作業員は、2日間にわたり、だれにも気付いてもらえなかったとみられる。名駅地区の高層化を象徴するビルの1つで、多くの工事関係者が出入りしているが、大規模な工事ゆえの死角も潜んでいる。

 施工する大成建設によると、作業員の行方が分からなくなった6日、ビルには作業員ら約350人が出入りした。しかし、作業員がいた低層階は1つの階の広さが約2800平方メートル、奥行きが50メートル以上もあり、工事関係者は「全体に目が届く規模ではない。広すぎて、死角で事故があったら気付かない」と打ち明ける。

 さらに大きな建設現場では日雇い労働者や零細業者が自分の都合で突然姿を消すことも少なくないといい、作業員の同僚や勤務先は事故とは思わなかったという。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20061109/mng_____sya_____005.shtml