名古屋地下鉄工事の9工区すべて談合

今年入札4工区も 刑事告発を視野
 名古屋市発注の地下鉄桜通線延伸工事をめぐる談合疑惑で、昨年入札が行われた5工区だけでなく、今年入札分の4工区も合わせ、全9工区を一括して、談合で落札する共同企業体(JV)を決めていたことが、関係者の話で分かった。4工区はまだ入札が行われていないが、公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑の成立に必要な「談合の基本合意の成立」や「相互拘束」などの条件を満たしていると判断。名古屋地検特捜部と連携して、9工区の談合での刑事告発を視野に調査を進めている。

 新たに談合の疑いが持たれているのは、同市天白区−緑区の「相川」「ほら貝」「緑黒石」「大塚」の4つの工区(計3・2キロ)。

 関係者によると、地下鉄延伸工事の談合は2005年末、行われた。今年入札が行われる4工区のうち、3工区は大手ゼネコンと準大手ゼネコン、大手海洋土木会社の3社が幹事会社を務める各JVが落札することで決定した。

 事業が最大規模になると予想される残り1工区は「東海地方の土木談合のドン」と呼ばれる大林組名古屋支店元顧問、柴田政宏被告(70)=名古屋市下水道談合事件で起訴=の影響力で、同社が入るJVが落札することで合意したとされる。

 公取委や特捜部の調べに対し、入札に参加したほとんどのゼネコンの営業担当者は「柴田被告の調整で談合が行われた」と供述しているという。

 刑法の競売入札妨害(談合)罪は、談合で決めた業者が入札で落札しないと成立しない。一方、独禁法違反罪は、談合の基本合意を前提に、一定のルールの下、入札に参加した業者間でお互いに拘束するなどの条件を満たしていれば成立する。

 公取委などは、今回の地下鉄談合疑惑の場合、9工区一括で落札JVを決めていることから、未入札の4工区についても「談合の基本合意が成立」すると判断。その合意を前提に、今年入札の4工区の本命JVが昨年の5工区の入札で、故意に高額金額を入れて、落札しないようにしたことは「一定のルール下で互いに拘束し合う」行為に当たるとして、9件の談合で刑事告発を検討している。

 公取委は今年分の工事の本命だった4JVの幹事会社などについて、さらに詳細な調べを進める必要があるため、まず5工区分を先行し、その後、4工区分を行う2段階での刑事告発になる可能性が高いという。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070121/mng_____sya_____008.shtml