構造計算偽装:大阪の建築士 他に119物件担当


大阪市鶴見区で2010年4月2日、京都府八幡市に建設予定だったアパート(鉄骨3階建て)の構造計算書に偽装が見つかり、国土交通省は2日、計算した「ミレ建築設計事務所」(大阪市鶴見区)の張武雄1級建築士(65)が手がけた、ほかの7府県119物件について、耐震性などの構造に問題がないか調査を始めた。改正建築基準法で構造計算を再チェックするために導入された「構造計算適合性判定」という手続きの中で発覚した。

 アパートの建築主が昨年8月、指定確認検査機関に建築確認を申請。判定機関が構造計算の適合性に疑問を抱き、追加説明を求めたところ、同年9月に提出された追加資料で偽装が見つかった。

 追加資料は構造計算のプログラムソフトで作成、印刷した資料。1階床下の基礎梁(はり)部分について、詳細な構造計算をし直す必要性を指摘する「ワーニングメッセージ」が2カ所表示されたが、プリントアウトした際にこのメッセージを消してコピーし提出したという。

 ワーニングメッセージが出ても直ちに耐震性がないことにはならず、追加計算をすれば問題がなかった可能性がある。このアパートは別の事務所が新たに建築確認申請し、安全性が確認されて建設されている。

 国交省によると、このほかの119物件の府県別内訳は、大阪104▽京都7▽滋賀3▽兵庫2▽奈良、和歌山、岡山各1。2〜3階建てのアパートが大半という。【石原聖】

 ◇「問題はない」
 ミレ建築設計事務所の張武雄1級建築士は取材に対し「審査を急いでいたため修正したが、安全性に問題はない。他の物件では一切やっていない」と話している。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100403k0000m040067000c.html