羽田新滑走路建設 鹿島、砂利を不正転用 詐欺容疑で立件視野

10月24日7時56分配信 産経新聞
 大手ゼネコン「鹿島建設」(東京都港区)などが受注した羽田空港新滑走路の建設をめぐり、同社が発注元である国土交通省の承認を得ずに、横浜市内のビル建設工事で出た砂利を埋め立てに転用した疑いがあることが23日、捜査関係者などの話で分かった。警視庁組織犯罪対策3課は鹿島側が転用を事前に把握し、国交省から受注額との差額をだまし取ったとみて、詐欺容疑での立件を視野に関係者の事情聴取を進めている。

 一連の問題を把握した国交省は鹿島に文書で厳重注意したうえで、8月に玉砂利を撤去させた。近く、警視庁に被害届を提出する方針。組織犯罪対策3課は、埋め立ての実行行為に元暴力団組員が関与し、鹿島が組織的に不正を行っていた疑いもあるとみている。

 工事関係者などによると、同社は平成19年12月、横浜市中区の「かながわドームシアター」跡地に、ホールや放送局が入居する10階建てビルを建設する工事を受注。この工事の過程で、約5千立方メートルの玉砂利が採取された。このうち約1千立方メートルについて、同社は20年10月、国交省に届け出ていた資材とは異なるにもかかわらず、羽田空港D滑走路の海底部分にあたる「築堤材」として転用。届け出よりも安価な玉砂利を使うことで、受注額との差額分をだまし取った疑いが持たれている。

 鹿島は他の14社との共同企業体(JV)で17年3月、羽田空港D滑走路建設事業(落札額は約5985億円)を受注しており、ビル建設と並行して工事を進めていた。

 捜査関係者によると、砂利転用に関与した元暴力団組員は、資材売買などの仲介会社代表を務めていたとされる。しかし、経営実態はなく、事実上のペーパーカンパニーだった。

 鹿島は産経新聞の取材に、元組員との関係について「何度か営業をかけてきたが、新滑走路では契約を結んでいない」と説明。「(転用は)故意に行ったわけではなく、連絡ミスで下請け会社が1度だけ海に投入してしまった」と話している。一方、捜査関係者によると、元組員は同課の調べに対し、「鹿島から砂利の転用を命じられた」などと供述しているという。

 鹿島は昭和5年設立のスーパーゼネコンで、平成21年3月期の売上高は1兆4919億円。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091024-00000070-san-soci