建築物の品質レベルアップ 国交省、基本法制定を検討

2009/1/7
 高品質な建築物供給などの基本理念をうたう「建築基本法」(仮称)制定に向けて、国土交通省が検討に入ったことが6日、分かった。2010年の通常国会での成立を目指す。姉歯秀次元1級建築士による耐震強度偽装事件をきっかけに、建築確認審査を厳格化した改正建築基準法の施行など最低限の安全基準を満たす法整備が進んだ。さらにレベルを上げて、建築物の品質向上に乗り出す。

 09年は、国交相の諮問機関である「社会資本整備審議会」などで検討を進め、具体的な内容をつめる。

 基本法とは、国の重要な行政分野について、制度や政策の基本的あり方を示した法律。同一の行政分野内では、基本法を踏まえた法整備や施策が求められる。教育関連法令の基礎となる「教育基本法」や原子力の研究開発の理念をうたった「原子力基本法」などがある。国交省管轄では、住宅政策の量から質への転換をうたった「住生活基本法」が06年6月に施行された。

 一方で、建築分野には、建築物全体の品質向上の指針となる基本法が存在しない。姉歯事件を機に改正された建築基準法建築士の定期講習などを義務づけた改正建築士法など、安全面を担保する個別の法整備が進み最低限度の安全基準が出そろった状況だ。

 国交省は、一層の建築物の品質向上に向け、建築基本法の制定を目指す。同法には基本理念のほか、基本的施策のあり方、関連業者や自治体の責務などを盛り込む考え。住生活基本法などを参考に社会資本整備審議会での協議や、業界からの提案に基づき具体的内容を検討する。
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