「国交相認定」空振り、建築確認ソフトの利用率0・3%

 耐震強度偽装事件後、厳格化された建築確認を迅速化する切り札となるはずだった、構造計算用の新「大臣認定ソフト」が今年4月以降、53件(全体の0・3%)しか利用されていないことが国土交通省の調査でわかった。


 大半は別の市販ソフトを利用していた。新ソフト導入は、国交省が公費を投入して開発を後押しした経緯があるだけに、現場からは「審査の大幅短縮にはつながらない」と同省への批判も出ている。

 調査は、昨年6月の建築基準法改正で義務づけられた、構造計算書の二重チェックを行う民間の45判定機関などの利用状況を集計した。4〜11月、計1万6215件の申請のうち、新ソフトが利用されたのはわずか53件。都道府県別にみると、最も多い広島が7件、大阪6件、東京5件などで、24道県はゼロだった。

 早期実用化を目指した国交省は今年1月以降、NTTデータ(東京)に対し、約3000万円を投入して開発を後押しした。同社製ソフトは認定第1号となり、3月下旬から発売された。データ改ざん防止機能などが盛り込まれているため、計算過程の一部省略が可能で、審査期間が35日以内に半減するとしていた。

 同社製ソフトは4回にわたって不具合が見つかり、認定を取り直した経緯もあり、あるソフトメーカーは「新ソフトの不具合により、省略した計算過程に重大な誤りがあった場合、取り返しがつかない」と語る。ゼネコン関係者も「二重チェックで計算を省略できる部分は必ずしも多くなく、審査の大幅な短縮は期待できない。国交省の見通しは甘すぎた」と指摘する。

 国交省住宅局は「利用が進んでいないのは事実だが、今後、増えるのでは」としている。NTTデータ以外の5社も新認定ソフトを申請しているが、認定のめどはたっていない。

(2008年12月29日03時09分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081228-OYT1T00743.htm