風力発電 建築基準法の運用緩和へ

2008.4.28 23:15
 国土交通省は28日、風力発電設備に関する建築基準法の運用を近く緩和する方針を固めた。昨年6月の改正で建築確認を受ける際に1基ずつ大臣認定を受けることが必要になり、風力発電の新設計画が遅れたり、中止に追い込まれたりする影響が出ている。このため、風力発電の型式ごとに認定を与え、同型式であれば1基ずつ認定を得なくても建築確認を受けられるようにする。風力発電地球温暖化防止のために普及が期待されており、運用緩和によって民間事業者の計画に支障が出ないように改める。

 高さ60メートル超の風力発電設備は、建築基準法改正前には広告塔などと同じ「工作物」とされていた。しかし、法改正後は超高層ビル並みの「建築物」扱いとなり、厳しい耐震審査が課された。台風などによる大規模な倒壊事故が相次ぎ、高度な構造計算を通じて安全性を確保するためで、建築確認を受ける際は指定機関の評価を受けた上で国交相の認定を得ることが必要になった。

 審査が厳格化されたことに伴い、改正後は今年3月末まで確認件数はゼロ。このため、業者から不満の声が上がっているほか、米国やドイツなどの大使館が「性能評価における海外メーカーの建築材料の取り扱いが厳格化され、非関税障壁になっている」と主張、国交省に運用改善を求める事態になっていた。

 風力発電の型式ごとに審査するように建築基準法の運用を緩和するにあたって、国交省は建造する地域の地盤条件や風力など外的要因が同水準であることを条件にし、安全性を担保する。風力発電の建築確認は今月に入り下り始めているが、国交省では運用緩和によって風力発電の事業計画を後押ししたい考えだ。
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080428/env0804282315007-n1.htm