イタリア村、図面で対立 名古屋港管理組合と設計事務所側

2008年4月14日 夕刊

名古屋港管理組合が保存していた配置図(上)。イタリア村が保管していた配置図(下)には木造と明記された店舗施設がある


◆違反建築問題で新たな火種
 「名古屋港イタリア村」(名古屋市港区)の市建築条例違反問題で、名古屋港管理組合(名管)が当初から「木造」と知っていたかどうかをめぐり、新たな火種が生まれている。「村が着工前に提出した」と名管が示す現場図面には「木造」の表記がない。ところが、作製者とされる設計事務所は「一目で偽造と分かる」と主張。「木造表記の別の図面が名管にあるはず」とする村側と「提出された図面そのものだ」という名管とが真っ向から対立している。

 14日午後には、衆議院の決算行政監視委で河村たかし議員(愛知1区)が取り上げ、「本物」「偽物」論争は国会にまで飛び火する事態になった。

 名管に保管されている図面は2004年9月、村が鉄骨の大型施設を建設する内容だった当初の計画を、複数の1戸建てに変更する申請の際に提出したとされ、A3サイズで、構造が「木造」とも「鉄骨」とも記されていない。

 一方、この図面に作製者として表記された設計業者は「自分が作製したものではない」と明言。「表記がずれるなどずさんで、こんなおかしな図面は作製していない」と主張。イタリア村は「何者かが差し替えた疑いがある」と疑惑を指摘する。

 イタリア村と設計業者が保管している申請図面の写しには、木造の記載があり、色分けで一連の建物が木造群とすぐに分かる内容になっている。

 イタリア村は「木造と明記した申請書類が条例違反に当たると名管が指摘していれば、着工前に計画の見直しも可能だった」と主張。違反を見落とした名管にも「責任がある」と訴える。

 名管幹部は「図面の差し替えはあり得ないし、不審な形跡も見当たらない。木造と分かる図面を提出したというのは、村側の勘違いではないか」とし、条例違反見落としも否定している。

 イタリア村関係者によると、村側が違反に気付いたのは着工直前の04年12月、建築確認の検査機関から指摘されたため。だが、翌年4月の開業が迫っており、木造による違反建築が強行された。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008041402003543.html