『強度不足』は激減 新築マンション 実測調査で判明

2007年10月27日 夕刊

 新築マンションをめぐり「一割に耐震強度不足の恐れがある」とされた国土交通省の抽出調査結果が、実際には最大でも4%程度にとどまることが分かった。現地で実測するなどした各自治体の裏付け調査で判明した。強度不足の新築マンションは単純計算で全国に約六百件と推計されていたが、大幅に下方修正される。国交省は、各自治体の報告がまとまり次第、最終結果を公表する。

 抽出調査は、姉歯秀次・元一級建築士による耐震強度偽装事件を受けたもので、新築マンションの耐震強度や偽装の実態を把握するのが目的。二〇〇〇−〇五年に建築確認された中層マンション約六千件から、無作為抽出した三百八十九件の耐震強度を試算した。

 その結果、今年三月の中間発表では、建築基準法が定めた最低強度を下回るマンションが、約一割の四十件に上った。

 これを受け、各自治体が現地調査などを実施したところ、▽建物の荷重の実測値が設計時の荷重より軽い▽現場の地盤が設計時の想定より強固▽構造計算書になかった耐震スリット(耐震壁と柱のすき間)が実際には施工されていた−などの理由で、耐震強度の実測値が計算値を上回るケースが相次いだ。

 強度不足とされた四十件のうち実測値も強度不足だったのは、大分(基準の66%)、静岡(同68%)、新潟(同85%)の三県にある三件だけ。二十四件は、基準以上の強度があったという。

 残る十三件は裏付け調査中だが、仮にすべてが強度不足でも、強度不足の建物は最大十六件(4%)にとどまる。このため強度不足の新築マンションは、予想より激減する見通しになった。

 強度不足が確定した三件も、国の建て替え基準(同50%未満)は上回っており、改修補強中。三件のうち大分県のケースは施工ミスが原因で、構造計算は問題なかった。静岡県のケースは、別の構造計算書が一部混入したミスという。このケースの建築士が関与した他の物件から五十八件を抽出した調査では、他に強度不足や偽装もなく、国交省は単発的なミスによると判断した。

 一方、新潟県のケースは、構造計算書の偽造を指摘された富山市の田村水落設計が構造計算を担当していた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007102702059754.html