住宅着工件数:道内で激減 分譲マンション、札幌で8月1戸 偽装の影、景気にも?

 耐震強度偽装を受けて建築基準法が6月に改正・厳格化された影響で、道内の住宅着工件数が激減している。特に分譲マンションは、札幌市内では8月の着工は1戸(前年同月157戸)しかなく、今後も低調に推移するとみられる。専門家からは景気への影響を懸念する声も上がっている。(25面に連載「着工渋滞」)

 国土交通省によると、8月のマンション着工数は全国が7069戸(前年同月比63・2%減)だったのに対し、道内は5戸(同97・5%減)と落ち込みがより激しかった。背景については、06年3月に発覚した札幌市の元建築士による耐震偽装の影響を指摘する声もある。業界関係者によると、この問題で市や検査機関の審査が厳格になり、さらに法改正が追い打ちを掛けたという。これに対し市建築確認課は「札幌だけ厳しくしていることはない。在庫過剰や価格高騰なども要因ではないか」と話している。

 市と民間審査機関から建築確認を受けたマンションは7、8月はともに18件で前年同期の半数以下。建築基準法に詳しい緑川光正・北海道大教授(耐震工学)は「改正法は細かいところまで決めすぎている。このままでは景気にも悪影響を及ぼす。運用をスムーズにできるよう国や行政が対応すべきだ」と話している。【鈴木勝一】

毎日新聞 2007年10月26日 北海道朝刊
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/archive/news/2007/10/26/20071026ddr041040003000c.html