長野市下氷鉋小 建て替え年度内間に合わず 法改正のあおり

10月17日(水)

 長野市が本年度中に完成させる計画だった下氷鉋(しもひがの)小学校の校舎増築工事着工のめどが立たず、予定していた来年春からの使用ができない見通しになっている。耐震強度偽装問題を教訓にした改正建築基準法が6月20日に施行されて建築確認が厳しくなり、手続きに時間がかかっているためだ。来年度は1学級増える見込みだけに教室の配分に影響が出そうで、市教委は困惑している。

 同校は児童増に対応するため、北校舎東側に鉄筋コンクリート造り3階建て(延べ815平方メートル)の校舎を来年2月末までに増築、4月から使う計画だった。建築確認はいったん6月18日に下り、同21日に総工費2億5700万円の増築予算案が市議会で可決。だが、同20日前に着工できなかったため、再検討が必要となった。

 市教委によると、国交相認定の構造計算プログラムソフトがまだ存在せず、改正法の基準を満たすかを調べるのに時間がかかった。その結果、設計変更も必要となり、約200万円が余計に掛かると判明。提出書類も大幅に増え、単純な記載ミスが認められないほど厳格な審査が課せられるため、審査する市建築指導課と事前の綿密な打ち合わせも必要になった。

 10月15日にようやく再び建築確認を申請。今後、同課に加え、新設された「構造計算適合性判定機関」が二重チェックするため、いつ申請が受理されるのか分からない状況という。

 市教委総務課の篠原邦彦課長は「着工を早める検討もしたが、より安全な校舎をと思い、新基準で行うことにした。ただ、こんなに時間がかかるとは思わなかった。子どもたちには申し訳ない」と話している。
http://www.shinmai.co.jp/news/20071017/KT071016FTI090001000022.htm