姉歯物件、市の発表は強度63%・住民調査は50%?

 元1級建築士姉歯秀次被告(49)による耐震強度偽装物件で、国土交通省横浜市が一昨年12月、耐震強度63%と発表した「グランドベイ横浜」(横浜市鶴見区、10階建て)のコンクリート柱内に、木くずが混じるなどずさんな施工不良などが見つかっていたことがわかった。

 住民側が依頼した設計事務所が調査したもので、ほかにも耐震壁の強度が過大に見積もられていることを指摘しており、強度が建て替えの対象となる50%を割り込む恐れも出ている。横浜市は「評価の前提が違っており、強度低下はありえない」としている。

 同物件は、都内の開発会社「ヒューザー」(破産)が建築主で、1999年11月に同市が建築確認。施工は「東鉄工業」(東京都新宿区)だが、実際は建設業法違反などで摘発された熊本県の「木村建設」(破産)に丸投げされていた。

 耐震偽装の発覚後、横浜市東鉄工業に指示して構造計算書を再計算。その結果、05年12月、耐震強度は63%とされた。当時はコンクリートの状況などは調べておらず、住民が耐震補強工事に向けた現況調査を第三者に依頼していた。

 それによると、コンクリート柱のうち計19か所で「コア抜き」調査を行ったところ、〈1〉木くずなどゴミが混じっている〈2〉粗い骨材の混入比率が異常に高い――などの施工不良の状況がすべての個所で確認された。各階の柱が一体化していないことを示しており、強度が低下しているとした。

 さらに、横浜市の再計算結果をチェックしたところ、全戸の中央部分にある壁について、耐震壁としての強度が過大に見積もられていると指摘。この結果、建物の強度が基準の2〜4割程度に落ちる可能性があるという。

 調査を担当した浜田幸慶・1級建築士は「横浜市の再計算結果は、耐震壁と見てはならないところに強度を持たせており、明らかに不適切だ」と話している。

(2007年5月29日14時36分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070529i406.htm