GS藤沢の建て替え、全社が辞退…耐震偽装

 耐震強度偽装事件で、耐震強度が最も低く基準の15%しかない神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ(GS)藤沢」(地上10階、地下1階)の再建事業について、マンション住民が協力を依頼したゼネコンや不動産、住宅会社計5社すべてが辞退していたことが17日、わかった。

 住民が示した条件と折り合わなかったためで、事業は暗礁に乗り上げ、住民は再建計画の見直しを迫られる事態となった。

 辞退については、業者と仲介している東京都内のコンサルタント会社が17日、住民に説明した。

 建て直しのため、住民は1月、都市再生機構が打診した業者のうち5社に条件を示して協力を求めていた。住民側の条件は、再入居に必要な間取りとして3LDKで100平方メートル以上というものだった。一方、工事費工面のため売却に充てる部屋の間取りは事業者に任せ、住民の追加負担額も含めて最も条件のいいものを採用することにしていた。

 5社のうち3社が2月初めに、住民側へ事業提案の申し込みをした。2社はこの時点で申し込みをしなかった。3社と住民側はその後もやりとりし、住民側は「快適な間取りなら、100平方メートルにはこだわらない」という意向を伝えていた。ところが、今月12日の提出期限までに3社とも辞退してきた。

 業者は、住民の条件を満たすと売却用の部屋も同じ広さとなり、価格が高くなって売却できない恐れもあるとしている。さらに、近隣ではマンション建設が進み、需要水準が下がっていることなども挙げているという。

 GS藤沢は、震度5弱の地震で倒壊の恐れがあるため、再建計画策定に先立って市が昨年4月、危険度が高い10〜4階部分の解体に着手した。この間、住民と市の代表で再建計画の策定を進め、9月には住民総会で「建て替え推進決議」を採択した。解体工事はほぼ終わり、再建工事の際に取り壊す3階以下の部分を残すだけとなっている。

 GS藤沢は30戸あり、強度不足の発覚時、17戸が入居済みだった。住民は、再建を待って全員避難生活を余儀なくされている。

 住民の男性は「再建が不可能なら、資産(土地)の売却も考えないといけないかもしれない」と頭を抱えていた。説明会に参加した男性は「ショックだが、再建をあきらめるわけにはいかない。問題点を明らかにし、もう一度みんなで検討したい」と話した。

(2007年3月18日3時2分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070318i201.htm