レオパレス21が偽装建築

2月10日10時0分配信 日刊ゲンダイ
 藤原紀香のCMで知られる不動産会社「レオパレス21」(東証1部)の建物が手抜き偽装であることが明らかになった。土台と建物を接続するボルトが打ち込まれていないなどの違法建築だが、日刊ゲンダイ本紙が取材を始めると大慌てで補強工事を始めたのである。

 耐震偽装のズサンな手抜き工事が明らかになったのはレオパレスがシルバー事業として昨年3月にオープンした介護施設「あずみ苑 平沢」(東京・あきる野市)。この建物の内装工事に携わり、手抜きの一部始終を目撃した三国建築設計工房(本社・藤沢市)はこう告発する。
「コンクリートの基礎と建物の土台を接続するアンカーボルトがまったく打ち込まれていないのです。基礎の下のスリープ(配管)を補強する太い鉄筋も入っていない。補強筋がないと強度不足で小さな地震でもコンクリートが崩れてしまう。窓のサッシも木造建築用の安物で規格外。耐震偽装以前に、明らかな建築基準法違反です。非破壊検査を実施すれば鉄筋やアンカーが入っていないことは一目瞭然。この施設は建て替えるしかありません」
 実はこの建物を設計した建築事務所からもクレームがついていた。オープン直前の05年12月末に、こんな施工指示書が出されていたのだ。
〈土台は無残にも酸素ガスで大きく穴が開きそのまま。メーカーとして、施工管理者としてどのような判断を下したのか〉〈土台にあけられた穴は錆(さび)止め処理もない。湿気を持つ木屑(きくず)がそのまま放置されている〉〈壁のアンカーはなぜかナット締めではなく溶接。善処を求めたが現場調査ではそのまま〉〈サッシの隙間には木片をはさみ、いかにも脆弱(ぜいじゃく)さを感じる〉
 レオパレス側はこの指摘にもとづいて工事をやり直し、東京都あてに報告書を出している。ところがこれもインチキだった。
「新規にアンカーを設置しなければならないはずが、ナットを土台の上にポンと置いてアンカーに見せかけているのです。プロが見ればすぐに分かります」(三国建築設計工房)
 この施設を認可した東京都では「検査済み書が提出されていて、書類に不備はない。建築基準はクリアしている」(福祉保健局高齢社会対策部)と言う。
 レオパレスはどう答えるのか。日刊ゲンダイ本紙が5日に取材を申し込んだところ「忙しいので取材は8日か9日なら応じる」(広報室)の回答だった。
 ところが、6日に現地に行ってみると、なんと工事用トラックが横づけされ、背広を着た男の指示で作業員が壁をはがし、鉄杭を打ち込んでいたのだ。
 介護施設の入居者も「急に工事が始まりました。一体何事でしょうかね」と首をかしげる
 改めてレオパレスに問い合わせると今度はこんな回答が返ってきた。
「補強工事? 何の工事かなんてこちらで把握してませんよ。我々は他にも仕事があって忙しいんだ。好きなように書いて下さい」(広報室長)
 レオパレスはニワカ補強工事で偽装をゴマカすつもりなのか。



最終更新:2月10日10時0分
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