耐震強度 都、7カ月超報告なし アパホテル日本橋駅前 安全未確認、休業も

2月9日8時0分配信 産経新聞
 耐震偽装が指摘される「田村水落設計」(富山市)が構造計算した東京都中央区の「アパホテル日本橋駅前」について、都が昨年6月、国から耐震性を検証するよう求められたのに、7カ月以上たっても検証を終えていないことが8日分かった。同ホテルはこのまま安全性が確認されなければ、3月から休業に追い込まれる。「都の対応が十分でないのでは」と指摘する声も出ている。

 関係者によると、同ホテルは田村水落設計の水落光男1級建築士が手がけた物件のうち、国土交通省がサンプル調査をしていた42物件の1つ。昨年6月、国交省は都に、偽装の有無と耐震性を検証し1カ月以内に報告するよう求めた。だが、都は現在も「調査中」として結果を報告していない。

 同ホテルは610室の大型ビジネスホテルで、民間確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)が建築確認し、平成17年に完成。だが、今年1月25日に同じアパグループ京都市内のホテルで耐震偽装が見つかったことなどを受け、安全性が確認されない限り3月から休業することになっている。

 関係者は「都が早急に検証を終え、問題なしとの結論が出れば休業する必要はない」と指摘。

 これに対し都は、独自に検証し直せば相当な費用がかかるとし、「建築確認した日本ERIに再確認を求めている。急ぐよう指導しているが、田村水落設計の協力がなかなか得られないようで、現時点でいつ終わるか分からない」としている。

 国交省によると、サンプル調査の42物件のうち8日までに検証が終わっていないのは、同ホテルを含め16物件。水落建築士の構造計算は標準的な方法と異なるため、検証の際、本人の意図を直接聞かないと分からない点が多く、時間がかかるという。

 一方で、民間の検査機関に頼らず迅速に結論を出す自治体もある。千葉県成田市に建設中のマンションを検証した同県は構造計算用のソフトで独自に計算し直し、強度不足の確認を終えた。「住民や宿泊客の安全にかかわる問題であり、検証に7カ月以上もかかるのはどうか」(国交省関係者)との指摘もある。

 都は「時間がかかっているのは事実。しかし、今から独自に検証するのはさらに時間がかかる。検査機関を急がせるしかない」としている。



最終更新:2月9日8時0分
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