京都市のアパホテル2棟で耐震強度不足 市、使用禁止に

2007年01月25日

 国土交通省は25日、分譲マンションやホテルを展開する「アパグループ」の京都市のホテル2棟で耐震強度不足が見つかったと発表した。京都市に対して、構造設計を担当した富山市の1級建築士は、うち1棟について構造計算書の改ざんによる耐震強度の偽装を認めたとしているが、建築士朝日新聞の取材に偽装を否定した。耐震強度は基準の1に対し0.71と0.79で、いずれも改修工事が必要。同市は、すみやかにホテルの使用を禁止し、改修工事を求める是正勧告書を出した。国交省建築士の処分を検討する。
 国交省によると、強度不足があったのは、京都市にある「アパヴィラホテル京都駅前」(10階建て)と「アパホテル京都駅堀川通」(地上11階、地下1階建て)。耐震強度はアパヴィラホテル京都駅前が0.71、アパホテル京都駅堀川通が0.79。いずれも田村水落設計(富山市)の水落光男・1級建築士が構造設計をし、03年8月に民間検査会社の京都確認検査機構が建築確認をした。

 昨年6月に田村水落設計の関与した埼玉、千葉県のマンションで構造計算書の差し替えが判明したことから、同省が関係自治体に同社の関与物件42件の調査を求めたところ、京都市のホテル2棟で耐震強度の不足が判明したという。

 京都市の調べによると、アパヴィラホテル京都駅前の構造計算書には意図的に改ざんした個所があり、アパホテル京都駅堀川通の構造計算書には設計図との不整合があったとされる。京都市が、構造設計を担当した建築士から聞き取りをしたところ、アパヴィラホテル京都駅前での偽装を認めたという。

 構造設計をした1級建築士は、社団法人日本建築構造技術者協会(東京)が「建築構造士」と認定する構造設計の専門家。朝日新聞の取材に対し、「確認申請した構造設計を工事の途中で無届けで変更したが、強度を偽装したことなどない。京都市には強度が1.5近くあると説明した」と話している。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200701250024.html