宮崎談合、安藤前知事きょうにも逮捕

 宮崎県発注の橋梁(きょうりょう)設計業務を巡る談合事件を捜査している宮崎県警は、情報処理・建設コンサルタント業、ヤマト設計(本社・東京)に業務を落札させるよう県幹部に指示したとして、4日、競売入札妨害(談合)容疑で、安藤忠恕(ただひろ)前知事(65)(4日辞職)の逮捕状を請求した。

 5日にも取り調べ、容疑が固まり次第、逮捕する。一連の事件では、前出納長江藤隆容疑者(63)(同)ら県幹部6人を含む計14人が逮捕されており、県警は江藤容疑者らの供述から、県政トップの主導で「官製談合」が行われた疑いが強いと判断した。 調べによると、江藤容疑者は、ヤマト設計の社長、二本木(にほんぎ)由文容疑者(56)(競売入札妨害容疑で逮捕)について「安藤知事から紹介され、『仕事を取らせてやってほしい』と言われた」と供述。昨年5〜6月、当時、県土木部次長だった藤本坦(ひろし)容疑者(59)(同、現土木部長)を出納長室に呼び、同社が落札できるように指示したと説明しているという。

 さらに、県環境森林部長税所篤三郎(さいしょ・あつさぶろう)容疑者(58)(同)も「安藤知事から『ヤマト設計を頼む』と言われたため、同社に落札させるよう土木部幹部に指示した」と供述。土木部次長の柴岡博明容疑者(58)に対し、落札を指示したことなどを認めているという。

 このほか、柴岡容疑者も「知事から直接、ヤマト設計に仕事を取らせるように言われた」と供述するなど、捜査の過程で前知事が複数の幹部に対し、同社に落札させるよう指示していたことが明らかになった。

 二本木容疑者は前知事が初当選した2003年7月の選挙を支援。その後、同社の業績が伸び悩んだため、陣営からの撤退をほのめかしながら、業務の受注を迫っていた。

 県警は、二本木容疑者が昨年春以降、受注を繰り返し要求していたことを突き止め、昨年11月に宮崎土木事務所(宮崎市)が発注した橋梁設計業務の入札と、今年7月に高岡土木事務所(同)が発注した橋梁設計業務の入札に絡む二つの談合事件で、江藤容疑者ら計14人を逮捕し、前知事の関与について調べを進めていた。

 安藤前知事は11月16日に県幹部3人が逮捕されて以来、談合事件への関与を一貫して否定していた。

 安藤前知事は1964年に宮崎県庁入り。人事委員会事務局長、商工労働部長などを歴任した。2003年の知事選で初当選した。

(2006年12月5日3時5分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061205it01.htm?from=top