大成建設がダンピング落札?下請け圧迫の恐れ

 内閣府沖縄総合事務局が発注した那覇港の海底トンネル工事を今年9月、予定価格の68・3%で落札したゼネコン大手「大成建設」(東京都新宿区)に対し、内閣府が安値落札の理由について説明を求めたところ、同社が下請け業者に請け負わせる価格を実際より1億円程度も安く抑えた報告をしていたことが分かった。

 内閣府は、安値落札のしわ寄せが下請けにいきかねないと判断、「差額は自社で負担する」とする異例の誓約書を大成建設に提出させた。

 問題の工事は、9月21日に一般競争入札で行われた「那覇港道路空港線沈埋函(ちんまいかん)7号函製作工事」。大成建設が予定価格34億9197万円を大きく下回る23億8600万円で落札した。

 無理な低価格入札は“下請け泣かせ”にもつながりかねないため、内閣府会計法に基づき説明を求めたところ、大成建設は、下請けの「日立造船鉄構」(大阪市)の請負額を十数億円とする内訳書を提出した。

 ところが、内閣府がさらに、日立造船鉄構が大成建設に出した実際の見積書を提出させたところ、内訳書より1億円程度、高い価格で見積もられていたことが判明した。

 内閣府に対し、大成建設は「下請けとの間で請負価格が折り合わなかった」と説明、最初の報告の誤りを認めた。

 このため内閣府は、下請けへの不当なしわ寄せによるダンピング受注を禁じた「公共工事の品質確保法」に抵触する恐れが高いとして、「差額は当社が責任を持って負担する」とする葉山莞児・大成建設社長名の「誓約書」を提出させたうえで、11月21日付で契約を結んだ。

 このような誓約書提出は、国土交通省内閣府の発注工事では初のケース。

 内閣府は「下請け泣かせの疑いがあるが、誓約書を提出しており、処分までは考えていない」としている。一方、大成建設では「個別の案件には答えられない」としている。

(2006年11月25日3時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061125i201.htm?from=main2