5年間8日勤務で給与2700万、奈良市職員を免職へ

 奈良市環境清美部の男性職員(42)が病気を理由に休暇や休職を繰り返し、過去5年間に8日間しか勤務していなかったことが分かり、藤原昭市長は23日、記者会見し、「市民に心からおわびする」と謝罪。この職員が5年間で約2700万円の給与などを受け取っていたことを明らかにし、「近く懲戒免職し、給与の返還請求も検討している」とした。

 職員は休んでいた間、度々、市役所を訪れており、親族の建設業者に市発注工事を受注させるよう口利きしていた疑いが浮上しているほか、同部の別の職員4人が01年1月から現在まで51〜186回にわたり、病気休暇を繰り返していることも判明した。

 市人事課によると、男性職員は、記録が残る2001年3月16日に出勤して以降、病気休暇や休職を続けている。出勤したのは01年はこの日だけで、03年は6日間。最近では、昨年12月23日に出勤したのが最後で、今年に入ってからは出勤しておらず、2、4、5、8月に違う病気の診断書が提出されたという。

 市の規定では、診断書があれば90日間まで休暇が取れ、異なる病気で診断書を提出し直せば改めて休暇を取れる。90日を超えると休職処分となり、給与は2割減額される。市は規定に従い、休暇中の給与は全額、休職中は8割を払った。

 市は、勤務記録が残っていない00年以前の状況も調べ、不当に支給した額を確定して返還を要請する。

 一方、市によると、男性職員は市の工事担当課に「(親族のために)仕事がほしい」などと要請したといい、親族の業者は昨年度だけで35件の工事を受注した。

 職員は市の調査に「個人的な働きかけはしていない」と関与を否定している。

(2006年10月23日20時36分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061023i513.htm?from=main5