佐藤・福島県前知事を収賄容疑で逮捕 東京地検

2006年10月23日19時08分
 福島県発注の大型ダム工事をめぐり、佐藤栄佐久福島県前知事(67)が、実弟の佐藤祐二被告(63)=競売入札妨害の罪で起訴=が社長を務めていた縫製会社「郡山三東スーツ」(同県本宮町)の土地をゼネコン側が受注の謝礼として購入した取引などに関与した疑いが強まったとして、東京地検特捜部は23日、佐藤前知事を収賄容疑で逮捕した。県発注の下水道工事をめぐる談合事件は、18年にわたり県政トップの座にあった前知事の汚職事件に発展した。

 特捜部は同日午後、前知事に出頭を求め、取り調べていた。また、佐藤前社長も収賄容疑の共犯として逮捕した。

 問題の工事は、同県が00年8月に入札を行った「木戸ダム」建設工事。準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京都千代田区)などの共同企業体(JV)が約206億円で落札。この工事では、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)が下請けに入り、掘削工事を担当した。佐藤前社長は、前田建設工業が落札できるよう受注調整したという。
 調べによると、水谷建設は02年8月、前田建設工業の指示を受け、郡山市内にある三東スーツの本社工場用地を約8億7000万円で購入。さらに、同年9月、佐藤前社長が経営する別の会社に1億円融資した後、03年2月に三東スーツの本社工場用地の購入代金を1億円増額するよう契約変更し、融資を購入代金に切り替えていた。

 特捜部は、計約9億7000万円の購入代金が時価を超えていると認定。前知事に対し、ダム工事を受注した謝礼として渡されたわいろの疑いが強いと判断したとみられる。

 贈賄側はすでに時効(3年)が成立している。
 前田建設工業水谷建設の関係者は、一連の取引について、佐藤前社長への受注調整の謝礼だったいう趣旨の供述をしている。

 佐藤前知事は02年まで三東スーツの取締役を務めていた。

 前知事は、88年9月の知事選で初当選。5期目の今年9月、佐藤前社長が逮捕されたことを受け、辞職していた。

http://www.asahi.com/national/update/1023/TKY200610230336.html