姉歯被告「考えまひした」 耐震偽装公判、本人質問

2006年10月12日23時52分
 耐震強度偽装事件で、建築基準法違反などの罪に問われた元1級建築士姉歯秀次被告(49)の公判が12日、東京地裁であり、被告人質問が行われた。姉歯被告は、100近い物件の構造計算書を偽造し続けた理由を「仕事をこなすうち、まひしていった」などと説明。「責任は私にある」と認める一方、「国会証言で最初の偽装物件が事実と違ったのは、記憶がなかったから」「02年後半以降は本当に木村建設の圧力があった」などと釈明も繰り返した。

 姉歯被告は先月15日に保釈が認められたが、保釈金500万円を払わず、勾留(こうりゅう)が続いている。

 姉歯被告は、96年に初めて偽装した時の心理を「地震の時に影響するので葛藤(かっとう)したが、区役所の確認審査をあっさり通って驚いた」と説明。その後は「仕事をこなすのが一番で、次から次へとこなすうちに、考え方がまひしていった」とした。「81年に新耐震基準に変わる前の建物も倒れずにもっていたので、偽装しても倒れないと思っていた」とも答えた。

 姉歯被告は昨年12月の国会の証人喚問で、篠塚明・元木村建設東京支店長の圧力がきっかけで偽装を始めたなどと偽証し、議院証言法違反の罪にも問われた。批判の矛先を木村建設に向けるためだったと認めた一方、最初の偽装物件が同社の物件と偽証した点について「マスコミを避けてホテル暮らしをしていたため資料を見られず、本当に記憶がなかった」と犯意を否定した。

 ベンツとBMWを1台ずつ持っていた姉歯被告が「偽装は生活のため」と主張したことに、川口政明裁判長が「話を聞いていても切迫感がない。この瞬間も被害者は大変な思いをしている」などと諭す場面もあった。
http://www.asahi.com/national/update/1012/TKY200610120424.html