福島知事を任意聴取へ

福島県発注工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は、佐藤栄佐久・同県知事(67)から今後、任意での事情聴取に踏み切るため、本格的な検討を始めたもようだ。知事が大株主を務める親族企業に、ゼネコン二社が多額の融資をしており、うち一億円は事実上の資金提供だった疑いが浮上している。特捜部は、佐藤知事が資金支援を関知していたかどうかを解明するためには、知事本人からの聴取が必要と判断しているとみられる。 

 特捜部は、知事の実弟で紳士服メーカー「郡山三東スーツ」(同県本宮町)社長佐藤祐二容疑者(63)=競売入札妨害容疑で逮捕=らの取り調べを続けており、佐藤知事の聴取の時期は、捜査の状況をみながら検討する。

 関係者によると、郡山三東スーツは二〇〇一年三月と七月、準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京都千代田区)とその子会社から計四億円を借り入れた。翌〇二年八月には、同県郡山市の土地を中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)に約八億七千万円で売却。同時に借入金四億円を返済した。

 土地売却の一カ月後、佐藤容疑者が社長だった紳士服販売「オックスフォード」は、水谷建設から一億円を借り入れ。翌〇三年三月に返済したが、返済の三日前、水谷建設は土地取得代金の増額分として、郡山三東スーツに一億円を支払っていた。このため特捜部は、借金を相殺する目的で、土地の代金が増額された可能性もあるとみているもようだ。

 前田建設共同企業体(JV)は二〇〇〇年八月、県発注の木戸ダム建設工事を約二百六億円で落札。水谷建設は下請け工事を受注した。
 このため特捜部では、知事の親族企業に対する資金支援に、工事受注の謝礼の趣旨がなかったかについても慎重に調べている。

 佐藤知事は〇二年五月の取締役退任まで、郡山三東スーツの専務や副社長を務めた。現在も四割の株を持つ筆頭株主
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060928/mng_____sya_____005.shtml