事務所登録取り消しへ

2006/09/21 21:03


 北海道は21日、マンションの耐震データを改ざんした浅沼良一・元2級建築士に構造計算を発注していた札幌市内の元請け設計事務所1社の登録を取り消し、5社を1カ月から数カ月の業務停止とする処分案を固めた。週明けに北海道建築士審査会の同意を得て通知する。

 一方、札幌市は同日までに浅沼元建築士について、物証が得られないとして刑事告発しないことを決めた。北海道も告発しない方針で、元建築士の刑事責任を問われないことになる。

 免許取り消しとなる事務所は浅沼元建築士がかかわったマンションの半数近くを発注していた。今後2年間、再登録できない。元請け業者は9社あり、残り3社の処分は設計責任者の1級建築士に対する国の処分が決まってからとなる。

 元請け業者の処分について、道は「事務所に所属する1級建築士に対する国の処分に準ずる」としていた。国土交通省が今月、1級建築士1人を免許取り消し、5人を業務停止1-9カ月とする処分を決めたことを受け、聴聞を進めてきた。

 国交省によると、登録取り消しとなる事務所が浅沼元建築士に発注したマンションのうち、12棟で耐震データの改ざんがあり、7棟の強度が基準を下回っていた。

 浅沼元建築士は9社から受注したマンション29棟の耐震データを改ざんし、道は建築士法の不誠実な行為に当たるとして、7月に建築士免許を取り消した。

 一方、札幌市は浅沼元建築士がかかわった物件を調査し(1)強度が基準の50%以下で建て替えが必要な物件がない(2)捜査当局の現場検証には大規模工事が必要で多大な費用がかかる-ことから立証は困難と判断。免許取り消しで社会的制裁を受けていることも重視した。
http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/0000118405.shtml