政財界人脈ある元会社役員関係も 水谷建設捜索

2006年07月08日15時23分
 東京地検特捜部が8日午前に水谷建設法人税法違反(脱税)容疑で捜索に乗り出した先には、政財界、電力業界などに幅広い人脈を持つフィクサーといわれた都内の元会社役員が設立した建設会社も含まれている。特捜部は、この元会社役員側に水谷建設が脱税工作で工面した資金の一部が流れたものとみている模様だ。

 この建設会社は、水谷建設が名古屋国税局の税務調査を受け、02年8月期までの3年間に約3億4000万円の所得隠しを指摘された際も、取引に関与していた。水谷建設が、東京電力福島第二原発の残土処理事業に絡み、この建設会社に対し、土砂運搬の外注費で約2億4000万円を水増しして支払ったとされる。

 水谷建設は、この元会社役員が関係する全国の複数の会社に、貸付金名目で数億円の資金提供を行っていた疑いがあるという。

 この元会社役員はこれまで、原発立地をめぐる電力会社やゼネコンによる不明朗な土地取引などに関与していた疑いが持たれていた。

 関係者によると、関西電力大阪市)が石川県珠洲市に以前計画していた珠洲原子力発電所の予定地付近の土地買収をめぐっては、地元のブローカーが地主の一人に土地を売るよう持ちかけ、さらに、このブローカーの知り合いである元会社役員が関電に土地の買い取りを働きかけ、話をつけたとされる。元会社役員は、朝日新聞の取材に対し、土地売買への関与を否定している。

 この元会社役員は、各電力会社の役員と親しく、ある電力会社関係者は「電力業界の危機管理などを取り仕切ってきた」との評判を口にした。

 元会社役員は、複数の国会議員や議員秘書とも親密に交際してきたとされる。こうした様々な人脈を生かした形で、元会社役員の関係会社は急成長を遂げたという。
http://www.asahi.com/national/update/0708/TKY200607080363.html