強度不足 建て替え要求 福岡沖地震被害のマンション 管理組合調停申し立て 福岡簡裁

 昨年3月の福岡沖地震でマンションが破損したのは耐震強度が不足していたからだとして、福岡市中央区のマンションの管理組合が26日、マンション販売会社「大京」(東京)などを相手にマンションの建て替えなどを求める民事調停を福岡簡裁に申し立てた。販売会社は耐震強度不足を認めているが、建て替えではなく「補強工事で対応したい」としている。福岡沖地震をめぐり住民側が建て替えなどを求めて提訴や民事調停申し立てをするのは初めて。

 申し立てたのは、同区今泉2丁目の分譲マンション(99戸)の所有者84人。マンションの建て替えのほか、管理組合が実施した構造計算の費用などとして約1200万円の支払いを求めている。

 管理組合側によると、同マンションは1992年に完成し、大京が販売。昨年3月20日の福岡沖地震の際、柱が壊れたり、壁にひび割れが生じたりするなどの被害があったという。

 構造計算書は紛失しており、地震後、管理組合側が第三者の設計会社に依頼した構造計算では耐震強度は耐震基準(1.0)を下回っていたことが判明。柱の鉄筋の数が少なく、一部に施工ミスがあることも分かったという。大京側が行った構造計算でも耐震強度は基準を下回っていた。

 マンション所有者の不動産業、進藤芳規さん(54)=福岡市西区=は「『修理するから大丈夫』と言われても信用できないので建て替えてほしい」と話した。

 大京は「耐震強度不足は建て替えが必要な水準ではなく、補修・補強工事を行う方針です。今後も住民のご理解をいただけるような対応に努めます」とコメントした。

=2006/06/26付 西日本新聞夕刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20060626/20060626_053.shtml