構造、設備設計に新資格 建築士制度見直し

 耐震強度偽装事件を受けた建築士制度の見直しで、国土交通省は25日、建築士の業務のうち、専門分化が進む構造設計と設備設計について、新たにそれぞれ専門の国家資格を設ける方針を固めた。26日に開かれる社会資本整備審議会基本制度部会の最終報告骨子案に盛り込み、次期国会で建築士法などの改正を目指す。

 設計の各段階での責任の範囲を明らかにし、安全性の確保につなげる。このため建築確認申請書類には、統括する建築士名だけでなく、担当した構造や設備の資格者名についても記載を義務付ける。

 建築物の設計は、技術の進歩を背景に、構造や設備など分野ごとに異なる技術者の共同作業として行われているのが実態。しかし、届け出など制度上は、全体を統括する建築士がすべて行う仕組みになっており、無資格の下請け業者が構造図や設備設計図を作成するなど、責任が不明確になる問題点があった。

 新たな2資格は、一定規模以上の建築物の構造設計、設備設計ができるものと位置付ける。業務ごとの報酬基準を定め、専門資格者としての地位の確立を図る。

 一方、建築士については、構造設計、設備設計とも権限を制限しない方針。このため、専門資格を取得しなくても建築士は従来通りの業務が可能となる。

 耐震強度偽装の再発防止策では、先の国会で、危険な建築物を造った建築士らに対する罰則強化を盛り込んだ改正建築基準法などが成立。国交省は、建築士資格の専門分化などを改革の第2弾と位置付け、8月末までに基本制度部会の最終報告をまとめる予定だ。

 <建築士> 建築物の設計、工事監理を行うことができる資格者。資格取得には、一定の専門教育と実務経験を経た上で、学科試験、製図試験に合格する必要がある。建物の種別や規模、構造別に、1級、2級、木造に区分され、現在計約100万人が登録されている。実際の業務は近年、建築物の大規模化や複雑化に伴って専門分化が進み、主に、計画(意匠)、構造、設備の3分野に分かれている。耐震強度偽装事件を起こした元1級建築士姉歯秀次容疑者は構造を専門としていた
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060626/mng_____sya_____000.shtml