『誰かのせいにしたかった』

姉歯被告
 耐震強度偽装事件で、元一級建築士姉歯秀次被告(48)が警視庁などの合同捜査本部の調べに対し、昨年十二月の国会証人喚問での証言について「偽装問題が大ごとになり、だれかのせいにしたかった」と供述していることが二日、分かった。同被告は証人喚問で「木村建設の圧力で偽装を始めた」という趣旨の証言を繰り返していた。捜査本部は姉歯被告が偽証した疑いが強まったとして、衆議院国土交通委員会からの告発を受け、議院証言法違反(偽証)容疑で立件する方針。

 姉歯被告は証人喚問で、最初の偽装物件は一九九八年七月、東京都大田区が建築確認したヒューザーのマンション「グランドステージ(GS)池上」で、施工した木村建設の元東京支店長篠塚明被告(45)から「鉄筋量を減らすよう圧力を受けたため」と証言した。

 しかし、その後の国土交通省の調査で、同二月に川崎市が建築確認した同市内のマンションが偽装物件と判明し、国会証言との矛盾が浮上した。捜査本部が姉歯被告を追及したところ、「偽装問題が大ごとになり、篠塚被告の責任にした。木村建設の物件以前にも複数の物件で偽装をした」と偽証を認めたという。

 姉歯被告は昨年十一月の偽装問題の発覚直後、偽装への取引業者の関与を否定しており、捜査本部は、同被告が構造計算を早く終わらせ、多くの仕事を受注するために偽装を重ねたとみている。また、国交省が告発した構造計算書の偽造に関する建築基準法違反容疑についても、偽装物件の鑑定書が完成し次第、姉歯被告を追送検する方針。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060603/mng_____sya_____010.shtml