壁に鉄筋なし、ずさん建築横行が判明…地震から1週間

ジャワ島地震
 【ジョクジャカルタインドネシア)=尾島崇之】インドネシアジャワ島中部地震では、オープンして間もないデパートやスーパーが全半壊し、本来は避難場所になるはずだった学校などの公共施設までが損壊した。

 これらの建物の多くで、壁に鉄筋が入っていないなどのずさんな施工が確認されている。早朝の地震だったため、こうした施設での人的被害は大きくはなかったとみられるが、耐震性を重視しない傾向が浮き彫りになった形だ。

 昨年末、ジョクジャカルタ市の中心部にオープンしたデパート「サフィール・スクエア」(地上7階、地下2階建て)。ブティックなど約120店舗が入居し、地震前には大勢の買い物客でにぎわっていた。だが、今は外壁が崩れ、屋根はぺしゃんこ。余震のたびに細かな破片が落ちてくる。

 現場を視察した建築士ベニー・スプリヤントさん(50)が、むき出しになった柱を指さし、「鉄筋が出ていない」と叫んだ。「レンガを積み上げ、セメントで固定しただけ。地震のことを全く想定していない」

 同市郊外の大型スーパー「カルフール」(地上4階、地下1階建て)も損壊した。今年2月にオープンしたばかりだが、柱に幅約10センチ、長さ約2メートルの亀裂が走り、外壁も一部が崩落。すぐ近くに築約40年の中高層ホテルがあるが、こちらは全く損傷していない。カルフールも、崩れた壁面に鉄筋は見えず、「設計や施工に手抜きがあったかどうかで明暗が分かれたのでは」と、スプリヤントさんは顔を曇らせた。

(2006年6月3日3時7分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060603i3w1.htm?from=main3