姉歯被告、調べに「国会証人喚問でウソ」と供述

 耐震強度偽装事件で、元1級建築士姉歯秀次被告(48)(建築士法違反の罪で起訴)が、昨年12月の国会の証人喚問での証言について、警視庁などの合同捜査本部の調べに、「ウソをついてしまった」と供述していることが29日わかった。

 姉歯被告は、最初に構造計算書を改ざんした物件について、「木村建設」(熊本県八代市)が実質的に施工した東京・大田区のマンション「グランドステージ(GS)池上」だったと証言したが、それより前に改ざんしたことを認めており、議院証言法の偽証罪にあたる疑いがある。捜査本部は姉歯被告が改ざんを始めた動機をさらに追及する。

 姉歯被告は昨年12月14日の衆院国土交通委員会の証人喚問に出席。構造計算書を改ざんしたきっかけを質問されると、木村建設の元東京支店長・篠塚明被告(45)(建設業法違反で起訴)の名を挙げ、「鉄筋を減らすようにプレッシャーをかけられた」と証言した。

 さらに最初の偽装物件については「(98年7月に建築確認がおりた)『グランドステージ池上』だったと思う」などと説明した。GS池上は、中堅ゼネコンが受注し、施工を木村建設に丸投げしていた。

 しかし姉歯被告による構造計算書の改ざんが発覚した98物件のうち、別の業者が施工した川崎市高津区のマンションは、98年6月ごろまでに建築確認がおりていた。これについて姉歯被告は、証言が虚偽だったことを認め、「ウソを言って申し訳なかった」などと供述したという。

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 警視庁などの合同捜査本部は29日午前、姉歯被告が構造計算書を改ざんし、開発会社「ヒューザー」(大田区)が販売した東京都稲城市の分譲マンション「グランドステージ稲城」(9階建て、24戸)について、建築基準法違反容疑で検証を始めた。

 同マンションの耐震強度は基準の33%で、国土交通省が同容疑で刑事告発した4物件中3件目の検証となる。

(2006年5月29日11時16分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060529i203.htm