設計事務所、静岡のホテルの「鉄筋不足」を文書で指摘

 耐震強度偽装事件で、元1級建築士姉歯秀次被告(48)が構造計算書を改ざんした静岡県湖西市のホテル「くれたけイン浜名湖」について、国土交通省が問題を公表する1年以上前の2004年10月、東京の設計事務所が「木村建設」子会社の「平成設計」に対し、「鉄筋が少ない」と指摘する文書をファクス送信していたことがわかった。

 警視庁など合同捜査本部は、設計事務所からこの文書の任意提出を受けており、木村建設や「総合経営研究所(総研)」などに対し、鉄筋が少ないという情報がどのように伝わったかに注目、捜査を進めている。

 このホテルの設計施工は名義上、地元の建設会社だが、実際には木村建設が施工を担当。設計のうち構造計算は平成設計に下請けに出され、姉歯被告が担当した。耐震強度は基準の5割程度とされる。04年7月に完工・開業したが、耐震強度偽装問題が表面化したことから昨年11月25日、休業に追い込まれている。

 関係者によると、平成設計はこのホテルの設計図を、取引のあった都内の設計事務所に持ち込み、「見てほしい」と依頼。同事務所は一昨年10月、「鉄筋が通常より少ない」という回答を文書にまとめてファクスで送ったという。
(2006年5月20日3時4分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060520i301.htm