耐震偽装、遅れる調査 壁への穴開け、住民は「嫌」 国交省、建築士も不足  2006/03/21 07:04

 耐震強度偽装問題の広がりを探るため、国土交通省が全国400件のマンションを対象に偽装の有無を調べるサンプル調査が大幅に遅れている。前提となる住民の同意集めや、構造計算のできる建築士の手配に苦慮するなど、今月中とした調査終了の目標達成は困難な状況。国民の疑念が晴れるのは先になりそうだ。

 調査は、二○○○−○四年度の五年間に完成したマンション(十階建て以上、六十メートル以下)の抽出を全国二百七十自治体に依頼。日本建築防災協会(東京)を通じて、構造計算のできる一級建築士に再計算を発注し、物件の現地検査も行う。

 一件当たり約一カ月かかるとみられ、道内でも道と、札幌、旭川、帯広など十市で建築確認された計十六件が対象となる。

 国交省は一月末から作業を始めた。調査には住民の同意が必要だが、壁に穴を開けることもある現地検査はすんなり受け入れ難いようで「まだ半分程度しか抽出を終えていない」(建築指導課)という。

 一方、構造計算にあたる建築士も不足。構造の一級建築士は推定約一万人とされるが「姉歯事件」発覚後は、全国的に殺到する再計算の依頼や、デベロッパーによる自社物件の再計算に追われるケースが急増している。三月は年度末で特に忙しく、「何とか再計算をお願いする建築士事務所(百件)のめどがついた状況」(日本建築防災協会)だという。

 サンプル調査は、新年度もホテルを中心に新たに百件について行う方針。「早急に全国の実態を把握したい」(建築指導課)としている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060321&j=0022&k=200603203192