札幌の耐震偽装元請け

埼玉の発注先も偽装
 札幌の耐震強度偽装問題で、構造計算書を偽造していた浅沼良一二級建築士(47)の元請けだった札幌市内の一級建築士事務所が、新たにデータ改ざんが分かった埼玉県内の設計事務所の男性にも構造計算を発注していたことが十九日、分かった。二件の偽装にかかわった監督責任があらためて問われるとともに、構造設計士が下請け扱いされる建築士制度の問題が浮かび上がっている。

 浅沼建築士は中高層建築の設計資格がない二級建築士で、埼玉の男性は建築士資格そのものを持っていなかった。

 元請けの事務所代表はいずれも資格を確認していなかったことを認めた上で、「実績があったので頼んだ。構造計算書をすべてチェックするのは物理的に不可能」と反論している。

 民間確認検査機関などによると、計算プログラムの入力項目は高層建築では千カ所以上になる。全体をチェックするには同じプログラムで再計算しなければならず、国土交通省建築指導課は「偽装方法によっては見抜くのは困難」と話す。

 日本建築士事務所協会連合会(東京)によると全国で登録している約三十万人の一級建築士のうち、構造計算できるのは一万人程度とされる。複雑化する構造技術に知識が追いつかない上、「設計士の大半はデザイン志向で、地味な構造屋は敬遠される」(ゼネコン設計担当)という傾向にあり、実態はデザイン設計士の下請け状態となっている。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060320/mng_____sya_____004.shtml