構造計算書 データ改ざん業者は無資格 建築士法違反疑いも  2006/03/16 23:52

 札幌市中央区で建設中の賃貸マンションの構造計算書のデータが改ざんされていた問題で、構造計算を手掛けた設計業者の男性が建築士の資格を持っていなかったことが十六日、札幌市などの調べで明らかになった。国土交通省建築士法違反(無資格設計)の疑いもあるとみて、設計業者がどのような形で仕事をしていたかなど、札幌市から聴いている。

 札幌市などによると、この設計業者は一級建築士の資格を持つ妻が代表を務める埼玉県の設計事務所に所属。男性は十数年前まで、札幌市内の設計会社に勤務していた関係で、現在も札幌に拠点を置き、構造設計に携わっている。

 建築士資格のない人が構造設計を行うには、一級建築士の監督下にあることが原則。しかし、男性は設計事務所から離れて道内を中心に仕事をしており、国土交通省も「建築士法違反の『無資格設計』に当たる可能性がある」(建築指導課)としている。無資格設計かどうかについては、事務所登録のある埼玉県に調査権限がある。

 建築士資格を持っていないことについて、設計業者は北海道新聞の取材に「確かに持っていないが構造計算はできる。資格を取らなかったのは個人的事情で、話す必要はない」と答えている。

 今回のデータ改ざんを受け、民間検査機関の日本ERIはこれまでに設計業者が札幌市内で手掛けたマンション二十二棟を調査。十六日までに、新たに別の一棟のデータについても改ざんが見つかり、計二棟となったが、いずれも耐震強度は基準値の一・○を上回ったとしている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060317&j=0022&k=200603162179