サムシングの耐震不足、別計算では基準満たす〜福岡市が確認へ

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(業務休止中)が福岡市内のマンション3棟の構造計算書を偽造したとされる問題で、耐震強度が基準以下と指摘された2棟について、建築主側が別の計算方法で再計算した結果、基準を満たしたと福岡市に報告していたことがわかった。市は再計算結果を検証し、安全性に問題がないか確認する。

 福岡市によると、報告があったのは市側が従来の計算方法で行った構造計算書の再計算で、耐震強度が基準を下回る「0.9」と「0.85」とされた2棟。市は2月8日に「偽造があったとしか考えられない」と発表し、建築主側に安全性を再検証するよう指示していた。

 再検証で使用された限界耐力計算は、2000年から構造計算に使われるようになり、地盤の状況など諸条件を考慮して強度計算を行うことができる。同計算で基準を満たし、市が安全性に問題ないと判断すれば、補強工事などを行う必要はなくなるという。

 市は今後、日本建築構造技術者協会(JSCA)などの助言を受けながら、再計算結果に問題がないか判断するが「結果として耐震強度が基準を満たしているかどうかと、偽造の有無は別の問題」としている。

 ■サムシング関与を349件特定
 「サムシング」が福岡市内のマンションの構造計算書を偽造したとされる問題で、県は10日、同社が手がけたとする約1万2000件の物件のうち、マンションや県営住宅など349件を特定したと県議会建築都市委員会で明らかにした。

 このうち312件は県内にあり、マンションや店舗といった民間施設293件と、県営住宅など県有施設19件。残る37件は東京都、埼玉、神奈川、佐賀、長崎、熊本、大分各県にあり、どのような建物か調査中という。

 特定できた物件は、県や福岡市、北九州市といった建築確認の審査機関が、それぞれの担当分の構造計算書を再計算し、耐震強度を点検する。

 また、福岡市教委は同日、市議会条例予算特別委員会で、市立学校の施設など5件を同社が手がけていたことを明らかにした。

 内訳は高校と中学の体育館や特別教室などが4件、少年教育施設が1件。校舎は含まれていない。使用停止にはせず、構造計算書の再計算などで安全性を確認する。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06031104.htm