札幌市の2級建築士、マンション5棟の耐震強度を偽装

 札幌市は7日、同市内の2級建築士が、元請け業者から構造計算を依頼された計5棟のマンションの耐震強度を偽装していたと発表した。

 建築士はほかにも28棟のマンションの構造計算を行っており、市は偽装がなかったか調べている。市は現時点で入居者の退去など、緊急な対応が必要な保有水平耐力指数が「0・5未満」(基準は1)の建築物はないとしており、「具体的な物件名や所在地の公表は行わない」(建築指導部)方針。

 市によると、偽装を行ったのは、浅沼良一・2級建築士(48)。マンションの建設を担当した元請け業者と下請けの浅沼建築士が2月6日、「構造計算書に偽装があった」と、市に報告して発覚した。

 7日、偽装が判明した5棟について、浅沼建築士は、構造計算書の作成中、複雑な計算作業を処理できず、つじつまを合わせるために数字をいじったという。市が、構造設計書などを取り寄せて再計算したところ、5棟は、0・7〜0・9と基準を若干下回っていた。これらの物件の中には、鉄筋などは必要量を満たしているにもかかわらず、鉄筋を入れる場所が適当でないために構造上のバランスが悪いなどで強度が不足しているものがあった。

 浅沼建築士は「耐震性能を確保するため努力したが、思うような計算結果とならなかった物件について、自分なりの判断で耐震強度上は支障がないと考え、構造耐力の数値の割り増しをした」と話しているという。市によると他の28棟の中には、耐震基準を上回っているマンションなどもあるという。

(2006年3月7日12時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060307it03.htm