札幌市の設計事務所、耐震強度偽装の疑い 市が調査

2006年03月07日03時06分

 札幌市内の設計事務所が構造計算したマンションなどの中に、耐震強度が不足している可能性が高い物件が数件あることが、同市の調査で分かった。一部は構造計算書の数字が差し替えられており、同市は構造計算の偽装があったとみている。この事務所が手がけた物件は市内に33件あり、同市は事実確認の作業を進めている。倒壊の危険などで住民に立ち退きを求めざるを得ない物件は、いまのところないという。

 札幌市などの調査によると、この事務所は複数の元請け設計会社から構造計算の業務を請け負い、事実上、1人の2級建築士が構造計算の業務を担当していた。元請け設計会社には大手のマンション開発業者も含まれているという。

 この建築士は市販の構造計算ソフトなどを使い、鉄筋の量などをずさんに見積もって作業を進め、最終的に計算が合わなくなった場合などに、数字を差し替えて帳尻を整えていたという。極端に多くの鉄筋を入れている物件や、上層階にいくほど鉄筋を多くしている物件など、常識では考えにくい設計もあるといい、同市は「建築士の技術不足は明らかだ」としている。

 耐震強度不足の可能性が出たため入居契約を解除するなどした北海道電力の子会社、北電興業(札幌市)が建設した2棟の賃貸マンションについても、この事務所が構造計算を担当していたという。

 この建築士に会社の名義を貸しているという男性は「建築士とは数日前から連絡が取れなくなっている」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0306/TKY200603060301.html