木村建設子会社、建築主に無断で「姉歯」へ構造計算発注

 構造計算書偽造の疑いがある北九州市八幡西区のビジネスホテル「アルクイン黒崎」について、設計を請け負った木村建設熊本県八代市)の子会社が、構造計算を建築主らに無断で姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に発注していたことが27日、読売新聞の調べでわかった。

 子会社側は当初、広島県設計事務所に発注したと説明しており、変更の理由について「木村建設東京支店の都合で差し替えた」と釈明している。当初1.15メートル四方だった1階の柱が、実際は0.95メートル四方になるなどして、耐震強度が70〜80%に低下したとみられる。

 姉歯事務所を巡っては、木村建設東京支店長(45)(解雇)が架空請求書を発行させ、“裏金作り”に協力させるなど、不透明な関係が明らかになっている。

 子会社は東京都千代田区平成設計。ホテル建築主の菅原不動産(八幡西区)からデザイン設計や構造設計を受注したが、昨年6月ごろ「近くの別のホテルの仕事もしているので、社名を公にしたくない」として、ホテル敷地内の別の建物を担当していた福岡市の1級建築士に建築確認申請の名義人になるよう依頼。親会社の木村建設が施工を請け負った。

 1級建築士によると、平成設計は建築主などに、広島県設計事務所が構造計算を行ったと説明し、昨年7月、民間検査機関に申請書を提出。同10月に確認が下りた。しかし偽装問題発覚後、検査機関が再点検したところ、実際は姉歯事務所が構造計算をしていた。

 1級建築士が今月下旬、平成設計の担当者に問い詰めたところ、「いったんは広島県の事務所が作った計算書を出したが、昨年9月になって姉歯事務所に再計算させた計算書を検査機関に郵送し、差し替えた」と説明した。1級建築士には無断で変えたことを電話で謝罪したうえで、文書でも経緯を説明した。

 また、姉歯事務所の計算書に、1級建築士の名前が記載、押印されていたが、建築士は「平成設計に預けていた印鑑を使って偽造された」として抗議文を送った。

 構造計算書の差し替えについて、木村建設代理人の弁護士は「知らない」と話している。

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_05112802.htm