ヒューザーの賠償請求棄却 建築確認で自治体責任否定

 姉歯秀次元1級建築士らによる耐震強度偽装事件に絡み、建築確認の際に偽装を見落としたため損害を受けたとして、偽装マンションの販売元ヒューザー(東京、破産手続き中)が東京都や横浜市など首都圏の9自治体や指定検査確認機関2社に計約50億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は31日、請求を棄却した。

 松井英隆裁判長は、建築確認の手続きについて「建築士に対する信頼を前提としており、自治体が建築物の適法性を保証するための制度ではない」と指摘。

 その上で「耐震偽装事件の発覚前は意図的な偽装行為があるとは認識されておらず、自治体が偽装を見過ごしたのが直ちに注意義務違反になるとはいえない」とした。

 構造計算書の一部欠落やページの差し替えがあった点も「当時の国の認定プログラムには一定の信頼が置かれており、自治体側が出力された数字を逐一検討することまでは求められていなかった」とした。

 判決によると、ヒューザーは1999〜2004年、東京都や横浜市などに対し、姉歯建築士耐震強度を偽装した構造計算書などを提出して建築確認を受け、各地にマンション13棟を建築、販売した。

2009/07/31 19:08 【共同通信
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009073101000558.html