構造計算ソフト認定で業界に波紋、「公平性欠く」の指摘も

 建築確認の迅速化の切り札として構造計算に使う新しい大臣認定ソフトの第一号に、国土交通省が、NTTデータ(東京)のソフトを強力に後押ししている。


 新設住宅の着工戸数の減少など改正建築基準法の波紋が続く中で、同省は「一日も早い実用化のため」と特例理由を説明しているが、同時期に申請した他社もあり、優遇ぶりが際立つ。

 認定作業の進め方を巡り、他のソフト会社や建設会社から「公平性を欠く」と反発が広がっている。

 国交省によると、指定性能評価機関に新しい大臣認定ソフトを申請しているのはNTTデータなど3社で、ほかに十数社が申請を準備している。最も早い申請は、NTTデータを含む2社で、昨年9月だった。

 同省では1月21日、このうち、NTTデータ製ソフトに「仮認定」を与え、ゼネコンや設計事務所、民間の指定確認検査機関などに呼びかけて協議会を結成。約1か月間かけ、既存のビルやマンションなど約30件をモデルに同社製ソフトを使って問題点を洗い出し、今月下旬には正式認定する予定だ。協議会の運営にかかる約3000万円の経費は国費から支出する。

 NTTデータの特例扱いについて、国交省は〈1〉開発が最も先行している〈2〉建築業界に早期認定を望む声が強かった――ためという。

 ただ、事前のデータ収集などの作業は通常、申請したソフト会社自らが、半年前後かけて行うことになっているため、早期認定の待望論があるとはいえ、認定の進め方に疑問や反発が渦巻いている。

 競合する別のソフト会社の担当者は、国交省の認定作業が大幅に遅れていることに触れ、「認定がこれ以上ずれこむと、国交省は自らの責任問題になることを恐れ、『何が何でも認定する』という焦りがあるのではないか。不公平極まりない」と憤る。

 また、協議会に参加する建設会社の社内では「一企業のために協力する必要があるのか」と疑問の声が出たという。同社の担当者は「1か月ほどのテストでは、問題点はあまり分からない。認定を急ぐあまり、安全な建物を造るという視点が抜けているような気がしてならない」と漏らした。

 NTTデータは「協議会の話は国交省側から持ちかけられたもので、コメントする立場にはない」としている。
(2008年2月20日14時51分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080220-OYT1T00348.htm