耐火偽装見逃し機関に天下り続々 国交省OBら、5法人へ25人

2007年11月8日 朝刊

 「ニチアス」(東京都)と「東洋ゴム工業」(大阪市)が不正に防耐火性能の大臣認定を取得した問題で、不正を見逃してきた性能評価機関に、国土交通省などのOBが大量に天下りしていることが分かった。天下りの人数は、北海道立を除く財団法人の5機関で計25人(延べ32人)にも上った。

 国交省は近く、各評価機関に大臣認定をめぐる不正がなかったか再チェックするよう求めるが、官庁や関連業界と、癒着ともいえる人事慣行が続いてきた評価機関の在り方が問われそうだ。

 耐火建材に水を含ませるなどニチアスの不正行為を見逃してきた財団法人「ベターリビング」(東京都)の理事長は旧建設省の元住宅局長で、ほかに専務理事1人、理事2人、監事1人、評議員4人の計9人もの天下りを受け入れていた。ガス器具や家電などメーカーの社長らも理事や評議員に名を連ねている。

 一方、東洋ゴムの防火用断熱パネルについて1992年10月から2004年5月まで6件の性能評価をして問題なしと判断したのは財団法人「日本建築総合試験所」(大阪府吹田市)。同財団には非常勤の常任理事(旧通商産業省元部長)と評議員(元経済産業省大臣官房審議官)の2人が天下っていた。担当者は「財団設立時の経緯もあり、天下りを受け入れてきた。ただ、評価は試験のほか学識経験者による評価委を経て公正・中立に行っている」と強調した。

 このほか「日本建築センター」「建材試験センター」「日本住宅・木材技術センター」(いずれも東京都)の3つの財団法人にも常勤役員8人、非常勤13人が天下っていた。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007110802062658.html