建築基準法改正から2ヶ月ますます迷走する建設業界 (2)

 
 新しい建築基準法に対応した構造設計に向き合っていかなければならないのだが、役所の担当者
設計事務所も未だ建築業者も手探りの状態である。
 関東地区では確認申請を判定しようとしない役所に対して『どうして認可しないのだ!』と訴訟にまで発展していると言う。

 住宅販売は日本の人口移動のピークである3月末と8月末に照準を合わさなければ手持ちの物件が不良在庫化してしまう。ところが現状では手の打ち様がないのだ。

 資金繰りだけではない、従来請け負ったゼネコン(建築業者)は契約金額から利益を生み出すためにVE(ヴァリュー・エンジニアリング)を行ってきた。すなわち、当初の設計図書に対して性能的、品質的に優れた部材や工法を逆提案して設計変更を承認してもらい同時に自社のコストダウンも図れるという手法を駆使して利益を捻出してきた。しかし今回の建築基準法改正では当初の確認申請図面の変更が赦されない。

 そうした手法が一切採れないのだから、これまで現場で産出されて来たイノベーションが起きる余地がないのだ。

 姉歯事件に端を発した今回の建築基準法改正は耐震強度確保が目的だった筈だ。それなのに耐震強度に関係ないクロス等の内装仕上げ図まで添付しなければならないのだろう?

 施行後3ヶ月を経て漸く説明会が開かれるなどとは言語道断、正に『どろ縄』的法律制定である。



日時: 2007年08月27日 11:00
http://www.data-max.co.jp/2007/08/2_2_3.html