談合業者に入札門戸、東京・立川市が新庁舎工事で

 東京都立川市が、防衛施設庁を巡る官製談合事件に関与したゼネコンを新庁舎建設工事の入札に参加させるため、公正取引委員会の処分前に、市の指名停止基準の運用を凍結していたことが5日、わかった。

 公取委の処分後、各地の自治体などが相次いで指名停止にしており、談合に対する罰則が骨抜きになるとの批判も出ている。

 凍結されたのは、市発注以外の工事であっても、独占禁止法違反が判明した場合、1か月以上1年以内の指名停止処分を科すとする基準。市発注工事への参加資格を持つ54社が処分対象となるはずだったが、5月22日の市競争入札参加資格等審査委員会(委員長・豊田和雄副市長)が、市発注工事以外の違反行為については、運用を凍結することを決めていた。

 今回の事件で、公取委が56社に対し排除措置命令を出したのは6月20日だが、同審査委員会が開かれた時期には、元同庁幹部の有罪が確定するなど、公取委の処分が確実視されており、“先手”を打った格好だ。豊田副市長は「新庁舎には高度な技術が求められるため、参加停止を留保することにした。基準は現在見直し中」と説明している。

 NPO法人「入札改革支援センター」(大阪市)共同代表の阪口徳雄弁護士は「指名停止基準の発動は談合防止の威嚇効果を発揮させるためのもの。談合防止への姿勢が疑われる対応」と批判。東京・港区長時代に罰則強化などに取り組んだ原田敬美(けいみ)・都市政策研究所長も「罰則が骨抜きにされる」と懸念している。

 同市の新庁舎は、現庁舎に代え、2・5キロ離れた用地での建設が予定されており、約80億円の費用が見込まれている。入札は、技術力も評価対象とする「技術提案型総合評価方式」を導入し、7月に告示、10月の1次審査と12月の2次審査で業者を選定する予定という。

(2007年7月6日3時6分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070706i401.htm?from=main4