静岡のマンション耐震不足 市、是正命令へ

2007/04/22
耐震強度不足の疑いが指摘されていた静岡市駿河区内の分譲マンションの耐震強度建築基準法の基準である1・0を下回っていることが、21日までの市の調査で判明した。建物の使用禁止措置や住民の強制退去、取り壊しなどが避けられない0・5未満ではなかったとみられ、市は建築主に「違法建築状態」の解消に向けた是正命令を行う方針。近く、住民説明会も予定している。平成17―18年に県内で発覚した5件の耐震強度不足物件は、いずれもホテルなどの商業施設と公共施設。分譲マンションの耐震強度不足が分かったのは初めて。
 国土交通省からの指摘を受けて市は、構造計算の再計算や詳細な検証作業を進めていた。その結果、耐震強度不足が明らかになり、建築確認申請書の計算表の一部が、別のものに入れ替わっていたことも分かった。
 マンションは平成14年建造の10階建てで、36世帯が入居する。市内の販売会社が大手ゼネコンに発注して建設し、市が建築確認を行った。
 マンションの建築設計と構造計算を手掛けたのは、それぞれ市内の建設設計事務所と構造計算事務所。構造計算を担当した建築士代理人は「指摘を受けて初めて、耐震強度不足が分かった。書類を故意に改ざんした事実はない」としながらも、「構造計算の一次計算は本人が担当したが、忙しくて二次計算は若手に任せ、確認しなかったことを後悔している」と明かした。
 耐震データ偽造事件を巡り、国土交通省が全国の10階建て程度のマンション約400棟を無作為抽出して実施したサンプル調査(書類調査)で、このマンションの耐震強度が基準を下回った。2月末に同省からの連絡を受けた市が、建築確認申請時に使われた構造計算書の内容を再計算したところ、耐震強度不足の疑いが強まった。
 このため市は3月中旬から1カ月かけて、このマンションが建築基準法に適合しているかどうか、耐震基準を満たしているかどうか―などについて、本格的に再検証してきた。
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