談合宮崎県部長ら逮捕 「官製」県が主導 競売入札妨害容疑 知事支援者ら10人 県警

 宮崎県の安藤忠恕(ただひろ)知事の後援会が元後援会幹部に5000万円を提供した問題に絡み、宮崎県警は16日、県発注の公共事業で官製談合があったとして、競売入札妨害(談合)の疑いで県土木部長の藤本坦容疑者(59)=宮崎市生目台東5丁目=ら土木部幹部3人と、安藤知事の支援者で5000万円の運び役とされる設計会社「ヤマト設計」(東京)社長二本木由文容疑者(56)=東京都目黒区=ら計10人を逮捕し、関係先十数カ所を捜索した。県警は17日にも県庁など数十カ所を捜索し、さらに県上層部の関与についても慎重に捜査する方針。現役の県幹部が逮捕された上、5000万円の受け渡しに関与した2人の人物が逮捕されたことで、事件は福島、和歌山に続いて大型汚職事件に発展する可能性も出てきた。知事は談合への関与を否定している。
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■知事は関与否定

 ほかに逮捕されたのは、県側が土木部次長柴岡博明(58)=同市佐土原町下那珂=と同部道路保全課長黒木勝男(57)=宮崎県高鍋町持田=の両容疑者。業者側が二本木容疑者のほかヤマト設計関係者2人と入札に参加した3社の社長。

 5000万円を受け取ったとされる元後援会幹部の石川鎮雄容疑者(68)=電磁的公正証書原本不実記録容疑などで逮捕済み=も再逮捕した。石川容疑者を除き容疑を大筋で認めているという。

 調べでは、藤本、二本木両容疑者らは共謀し、
昨年11月16日に実施された災害復旧工事にからむ宮崎市田野町の橋の設計業務を委託する入札で、ヤマト設計が落札できるよう談合した疑い。入札にはヤマト設計を含む5社が参加し、同社が予定価格(約730万円)の約94%に当たる690万円で落札した。

 県警によると、柴岡、黒木容疑者は当時、事業を発注した宮崎土木事務所の所長、次長で、藤本容疑者も含め、県側がヤマト設計が受注するよう、入札参加業者の選定などで便宜を図ったという。県警は「県主導の官製談合であり、石川容疑者も官側の立場で受注を調整した」としている。

 同県では安藤知事が初当選後の2003年9月ごろ、知事の後援会が、石川容疑者に現金5000万円を提供したが、政治資金収支報告書に記載していなかったことが発覚。安藤知事は「記載漏れだった」と認め、今年9月に報告書を訂正した。

 関係者によると、二本木容疑者は石川容疑者と面識があり、後援会幹部が捻出(ねんしゅつ)した5000万円を石川容疑者に渡す役割を担ったという。


=2006/11/17付 西日本新聞朝刊=

2006年11月17日00時14分
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20061117/20061117_001.shtml