姉歯被告「有能評価が目的」と検察側主張 耐震震偽装

2006年09月06日23時34分
 耐震強度偽装事件で、建築基準法違反や議院証言法違反(偽証)などの罪に問われた元建築士姉歯秀次被告(49)の初公判が6日、東京地裁であり、検察側は、姉歯被告が「有能な建築士」としての評価を維持し、利益を得るために偽造に及んだと指摘した。姉歯被告は公判の冒頭で、「マンションの住民に多大なご迷惑をおかけしました」と謝罪した。

 検察側の冒頭陳述によると、姉歯被告が初めて偽造したのは96年10月ごろ依頼されたマンションの構造計算書。初めて扱う規模の大きな物件で、鉄筋量を抑えた設計ができなかったうえ、収入が激減していたことなどから、検察側は、姉歯被告がコスト削減のできる「有能な建築士」としての評価を維持し、収入を増やすために偽造を思いついたと指摘した。

 一連の偽装は昨年11月、姉歯被告が構造計算を担当したマンションやホテルの耐震強度が不足していると国土交通省が発表したことで表面化。99の物件で偽装が判明した。

 衆院国交委員会から昨年12月に証人喚問されたが、能力不足を覆い隠し、利益を得るために偽装したことが明らかになれば強い非難を浴びると考えた。木村建設側からコスト削減の圧力を受けてやむなく偽装したことにして、責任を転嫁しようとした、とされる。

 検察側は、姉歯被告が「利益を優先し、人命にかかわることから目を背けていた」と供述していたことを明らかにした。

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 〈姉歯被告の起訴事実〉 虚偽の構造計算書を作成しマンションやホテルを完成させた=建築基準法違反▽初めて虚偽の構造計算書を作成したのは96年12月だったのに「木村建設の圧力を受けた98年ごろ」と昨年12月の衆院国土交通委員会で証言した=議院証言法違反▽秋葉被告に建築士の名義を貸した=建築士法違反幇助(ほうじょ)
http://www.asahi.com/national/update/0906/TKY200609060485.html