福島県発注の下水道工事で談合容疑、週明け本格捜査へ

 福島県が2004年に発注した流域下水道整備工事の入札で談合が行われていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は、入札に参加した業者らに対し、競売入札妨害(談合)容疑で来週にも本格捜査に踏み切る方針を固めた。

 工事の一部を受注した東急建設の支店長(故人)が、県内の公共工事の受注に影響力を持つとされる空調設備管理会社社長(59)に受注調整を依頼した見返りに1000万円以上の謝礼金を渡したと供述していたことも判明。特捜部は、この会社社長が談合に関与していた疑いがあるとみて追及する方針だ。

 特捜部は、水谷建設の脱税事件の捜査の過程で、複数の県発注工事での談合疑惑を把握。関係者の聴取を進めた結果、流域下水道整備工事の入札参加業者から「談合を行った」との供述を得て、調べを進めていた。

 関係者によると、談合の疑いが持たれているのは、同整備工事のうち、県北処理区の事業。県北部の2市2町の下水を浄化センターで一括処理するために下水道管を約56キロにわたり埋設するもので、各工区に分けて分割発注された。総事業費は約911億円。

 このうち、04年8月の指名競争入札には、15の共同企業体(JV)が参加し、東急建設と地元大手の「佐藤工業」(福島市)のJVが、福島市内の整備工事を予定価格約8億6340万円に対し8億1690万円で落札した。落札率は94・6%だった。

 東急建設の東北支店長は先月15日、特捜部の聴取を受けた後に都内で飛び降り自殺したが、聴取に対し、「会社社長に東急建設が受注できるよう依頼し、1000万円以上の謝礼金を渡した」などと供述したという。

 福島県政の事情に詳しい複数の関係者によると、会社社長は、佐藤栄佐久福島県知事の選挙の応援をするなど、知事に近い存在とされる。特捜部は、この会社社長が、下水道工事の談合に深く関与していた疑いが強いとみている。

 特捜部は、このほか、木戸ダムやあぶくま高原道路建設工事など他の県発注工事の談合疑惑についても解明を進めている。

 会社社長は、読売新聞の取材に対し、「談合に関与したことはないし、金などももらったことはない」と関与を否定している。

(2006年9月2日3時0分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060902it01.htm?from=top