姉歯被告の偽証立件へ、「木村建設から圧力」証言で

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は6日、構造計算書を改ざんして強度不足の建物を設計した建築基準法違反容疑で、元1級建築士姉歯秀次被告(48)(建築士法違反の罪で起訴)を追送検した。


 同被告は昨年12月の国会証人喚問で、強度偽装の動機を、「木村建設」(熊本県八代市)側から、鉄筋を減らすよう圧力をかけられたためと証言。しかし取り調べに対し「偽装すれば仕事が多く受注できると思った」と供述しており、捜査本部は、議院証言法違反(偽証)容疑での立件に向けて捜査を進めている。

 調べによると、姉歯被告は2004年5月と昨年2月、「グランドステージ(GS)藤沢」と「サンホテル奈良」の構造計算書を改ざんし、耐震強度がそれぞれ基準の15%と44%しかない建物を建てた疑いが持たれている。

 姉歯被告は、「偽装をすれば受注が増え、収入が多くなると思った」「入退院を繰り返す妻のため、お金が必要だった」などと容疑を認めているという。

 姉歯被告は、構造計算用のコンピューターソフトの設定を、でたらめな数字を入力しても計算できるよう操作していた。この2件の物件で得た構造計算料は計約300万円で、相場の半額以下だった。

 捜査本部は、両物件を施工した木村建設が、姉歯被告に「経済設計」をするよう指示したことは確認できたとしている。しかし昨年12月の衆院国土交通委員会姉歯被告が証言した「木村建設による圧力」については、関係者の供述などから、「圧力と言えるほどではなかった」と判断した。このため同委員会は近く理事会を開き、議院証言法違反容疑で、姉歯被告を警視総監に告発する見通しだ。

 一方、捜査本部は5日、開発会社「ヒューザー」社長の小嶋進容疑者(53)(詐欺容疑で逮捕)を、GS藤沢の住民計10人から販売代金計約3億6000万円をだまし取った詐欺容疑で追送検した。
(2006年6月6日14時32分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060606i308.htm?from=main3