公取委、ゼネコン10社立ち入り…異例の刑事処分後

 防衛施設庁発注の建設工事を巡る官製談合事件で、公正取引委員会は16日午前、大手ゼネコンの鹿島や大林組清水建設(いずれも東京都港区)、大成建設(新宿区)などゼネコン約10社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査に着手した。

 東京地検特捜部の捜査では、同庁幹部が主導の談合とされ、各社の担当者らは刑法の競売入札妨害(談合)罪での略式起訴にとどまった。

 公取委は、全国の約200社がかかわった大規模な談合の疑いもあるとみて、改めて独禁法に基づく行政処分を各社に科すとともに、同庁にも、官製談合防止法による改善措置を求めるとみられる。

 談合罪で刑事処分が行われた事件について、公取委が改めて検査に乗り出すのは、社会保険庁発注の「シール談合事件」(1993年)以来、13年ぶり。今年1月の改正独禁法施行を受け、談合根絶に向けた公取委の強い姿勢を示した。

 立ち入り先となったのは、このほか大手4社とともに担当者が略式起訴された東亜建設工業千代田区)や鉄建(同)、五洋建設(文京区)、りんかい日産建設(港区)など。

 同庁の土木・建築工事は、全国11の防衛施設局・支局で発注されている。ゼネコンが加わるなど大型工事の入札は2003〜05年度で計約130件、発注総額は約1000億円に上る。公取委は、これらの工事で広く談合が行われた疑いがあるとみて審査を進める。

(2006年5月16日14時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060516i105.htm?from=main1